「おいな」とは?
南鯖石おいな保存会
「おいな」について
現時点で確証とされることは、「発生年代が古い」ということと「しゅげさ節=しげさ節=しげさ」と共に、「三階節の元、祖型とされる」
の二点である。
このこと以外、由来(起源・広がりの経緯・分布・地域等)は全く不詳である。本稿では各地の研究者、文化機関・団体のご協力と文
献・資料等により解明を試み推察し更に小考を加えたものである。
 
古いとされる事由
本県が源流とされる「しげさ節」は、その主流を柏崎から柿崎地方の米山西方にかけて伝わる盆踊り唄である。更に中魚沼郡地方
や高柳町の一部にも伝わった。
この「しげさ節」は、文献や研究者の言、及び大正9年の南鯖石村郷土史によると柏崎の専福寺の僧にまつわる故事に起因するとい
う。眉目秀麗なる若き僧、つまり出家の朗々たる法話説教が人々に感動を与え、御出家さんを讃える唄となり、出家がしゅっけとなり
「しげさ」に転化したという。研究者によると、このしげさ節が盛んに唄われたのは、およそ340年前、万治年間とされる。
更に研究者の文献によると、新潟県に古くから「おいな」という唄が唄われていたが、江戸時代初期、中央で流行り唄に「ヤラシャレ
節」「ヤッショメ節」があり、これが新潟県(越後)に伝来し、古くからの「おいな節」と混合し、やがてこの地方で「野良三階節」となった
のではないかという。
このことから、「おいな」は「しげさ節」よりも、古い年代に起源していると言えるだろう。
 
おいなは三階節の祖型である事由
一つには、歌詞の中に全く同一のものと、よく似かよっていりものがあること。
文献にもあるが、唄が三回繰り返されたと思われる点。音頭が三段に唄われる形も。
踊りの所作に似かよった所作が見られることなどであろうか。
☆但しメロディは、似ているとは言えないのではと小考する。
 
現在までの「おいな」への評価
特筆すべきことは、昭和53(1978)年、日本民謡協会主催の民謡民舞秋季大会で発掘民謡として発表した。(故 砂塚大一郎氏中心
に) その際、民謡界の権威者、町田佳声氏、佐藤まつ子氏ら審査員に、次のような評価を頂戴し、最高点を得た。
「素朴で土の香りを漂わすしみじみとしたものであり、郷土性と古典的で優美な踊りぶりである。」
この時は、プロ社中により鳴り物付きとして唄われ、昭和54年、角田会よりレコード化された。
 
今後解明したいこと
1. 「おいな」の語源。又表記は「かな」か「カナ」か「漢字」か。
2. 囃子言葉に当たる「どうほうれいか」とはどのようないみがあるのか。
3. なぜ「鳴り物」を用いないのか。
4. 「アイヌ語」や「朝鮮語」などとの関わり等々を確たる由来に解明する努力の必要性。
 
由来にまつわる諸説(順不同)
1. 空也上人に始まり、一遍上人が広めたとされる「念仏踊」「踊念仏」から、やがて供養踊りとなり、庶民の盆踊りへと転化してきたと
  の説。一気に800年の昔へ思いを誘う。
2. 有名な釈迦の十大弟子の一人目蓮尊者の故事にまつわる説。
3. アイヌ語にポンオイナ(小聖伝)があり、オイナとはアイヌ語で昔語りとし、何か関わりがあるのではないかとの説。
4. 掛川藩士某なる人物が、明治の初め帰郷の折り、持ち帰って広めたという説。<森近郷土史>森近=現柏崎市森近
5. 翁(おきな)がなまって「おいな」になったのではないかとの説。<柿崎町>柿崎町=現上越市柿崎区


歌詞は「三階節」、「しげさ」「やっしょめ節」等と密接な関係にあり、かつては南鯖石と鵜川の両地域に伝わっていたが、現在は南鯖石だけに残る古典的踊りである。
                                                           柏崎市教育委員会編「柏崎市の文化財」から抜粋    
 
鵜川及び南鯖石地区でうたわれた盆踊り唄で、「三階節」の祖型ともいわれ、今日では南鯖石だけに伝承されている貴重な唄である。
踊りは三階節よりテンポが速く難しいといわれている。輪になって踊る踊り子の中に音頭とりの一群が入り、踊りの輪と反対方向にまわる。
                                         柏崎市立博物館編「第16回特別展図録柏崎市の文化財とその周辺」から抜粋                      


「おいな」のあしあと(無形文化財指定後)
 
昭和48年 柏崎市無形文化財に指定される。
 当時公民館長であった岡村信明氏が地区の文化・民俗芸能等の資料収集に奔走され、文化財指定にご尽力された。
   
昭和51年 田島おいな保存会発足(田島=柏崎市田島)
   
昭和52年 柏崎市コミュニティ祭りに出演
   
昭和53年 柏崎日報復刊30周年記念 「柏崎郷土芸能の夕」に出演
   
昭和56年 南鯖石おいな保存会発足
   
昭和62年 松坂節全国大会に特別出演(大和町)大和町=現新潟県南魚沼市
   
平成01年 柏崎日報復刊40周年記念 「柏崎芸能祭」に出演
   
平成02年 市制50周年記念 市民ミュージカル「水色の世紀」に出演
   
平成06年 地域伝統芸能新潟公演に出演(新潟テレサ)
   
平成14年 柏崎市マナビイステージに出演
   
現在 集落の盆祭りなどで踊られている


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