ウワミズザクラ 
(バラ科)

 初めてこの花を見たときはこれがサクラの一種だとは思えなかった。花穂に白い小花がびっしりついて、遠くから見ると瓶を洗う刷子のように見える。しかし、その小さな一つひとつの花は間違いなくサクラの花である。
 最初は名前がわからず、例によって教えを乞うた。
 答えはアンニンゴだと言う。つぼみの状態の花穂を塩漬けにして酒のつまみとし、花後の果実はアンニンゴ酒を作るために使われる。
 名は亀甲占いにこの材の上面に溝を彫って使用したことから、上溝桜。それが訛ったものと言う。